人間の記憶とパソコンの管理方法はなぜ噛み合わないのか
人は意味や文脈で記憶し、パソコンはファイル名やフォルダで管理する。この根本的な違いが『画像はあるのに見つからない』問題を生み出しています。
ある日、過去に作ったデザインの参考画像を探していました。
頭の中にははっきりとした記憶があります。
地球の歩き方みたいなデザインだった。
しかし、見つかりません。
ファイル名も覚えていない。
保存したフォルダも覚えていない。
それでも、そのデザインの見た目だけは鮮明に覚えています。
この時、ふと気付きました。
もしかすると、人間とパソコンは根本的に違う方法で情報を記憶しているのではないか。
人間は意味で記憶する
例えば、「地球の歩き方風のプロフィールブック」と言われると、多くの人は何となくイメージできます。
黄色い帯。
旅行ガイドのようなレイアウト。
情報がぎっしり詰まった誌面。
実際の画像を見ていなくても、頭の中に近いイメージが浮かびます。
人間はこうして記憶しています。
名前ではありません。
意味です。
パソコンは意味を知らない
一方で、パソコンは違います。
パソコンが知っているのは、
profilebook_final.ai
なのか、
client_book_v3.ai
なのか、
2025_wedding_book.ai
なのか、という情報です。
そこに「地球の歩き方っぽい」という概念はありません。
パソコンは意味ではなく、ラベルで管理しています。
「トイストーリー風」は検索できない
例えば、過去に作ったトイストーリー風のLPデザインを探したいとします。
頭の中では、
- 青空の壁紙
- 雲の模様
- カウボーイハット
- おもちゃパッケージ
が浮かびます。
しかしファイル名は、
invitation_lp_v5.psd
かもしれません。
この時、人間の記憶とパソコンの管理方法は完全にすれ違っています。
フォルダ整理は本当に正しいのか
私も長年、フォルダ整理が大事だと思っていました。
案件ごとに分ける。
年ごとに分ける。
種類ごとに分ける。
確かに効果はあります。
しかし問題は、人間がその分類方法を忘れることです。
5年前の自分が、なぜそのフォルダに保存したのか。
それを思い出すのは意外と難しいものです。
記憶は検索ではなく連想で動く
人間が画像を思い出す時、実は検索しているわけではありません。
連想しています。
例えば、
湘南ビール
↓
クラフトビール
↓
ウェディングパンフレット
↓
あの写真
のように。
Google検索とは全く違う仕組みです。
キーワード管理にも限界がある
ではタグを付ければ良いのでしょうか。
残念ながら、それも万能ではありません。
なぜなら、未来の自分がどんな言葉で探すか分からないからです。
今日の自分は、
雑誌風
というタグを付けるかもしれません。
しかし3年後の自分は、
地球の歩き方みたいなやつ
で探したくなるかもしれません。
記憶の表現は変化します。
画像検索アプリを作っていて気付いたこと
SeekShotを開発していて気付いたのは、画像管理の問題は管理の問題ではないかもしれない、ということです。
本質は、人間の記憶とコンピュータの管理方式のズレにあります。
人間は意味を覚えています。
コンピュータは名前を覚えています。
だから、画像は存在しているのに見つからない、という不思議な現象が起こります。
AI検索が面白い理由
最近のAI検索が面白いのは、このズレを埋め始めているからです。
例えば、
- ケーキ入刀
- 地球の歩き方風
- ビール紹介ページ
- 青空の背景
こうした人間らしい記憶の断片から画像を探せるようになってきました。
これは検索技術の進化というより、人間の記憶に検索方法が近づいてきた、と言った方が正しいのかもしれません。
まとめ
長い間、ファイル管理の問題は整理不足だと思っていました。
しかし今は少し違う考えです。
人間は意味で記憶する。
パソコンは名前で管理する。
この根本的な違いが、
あの画像どこだっけ?
を生み出しているのではないでしょうか。
画像検索アプリを作りながら、私はそんなことを考えるようになりました。
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SeekShotのご紹介
SeekShot は、意味検索・類似画像検索・顔検索を組み合わせた Mac 向け画像検索アプリです。
人間の記憶に近い形で画像を探せる環境を目指して開発しています。